会長挨拶

全日本医師剣道連会長を拝命して

全日本医師剣道連盟会長
野見山すすむ

 皆様、令和4年4月の幹事会で会長に選任していただきました。前会長故大祢廣伸先生より副会長にとのたってのご要望があり、おうけさせていただきましたが、大祢先生のほうが年齢が若く、今後会長をお受けするような機会があるとしてもまだだいぶ先のことと思っていました。ところが大祢先生が急にお亡くなりになり、会長という大役を任されることとなりました。大祢先生から何度もお話をいただいていたのはなにかご自分の体調などに感じられるものがあったのかもしれません。しばらくはとまどっておりましたが、長年この会に参加させていただいてきたことへのお礼の気持ちを込めて、大祢先生のご期待にそえるかどうかはわかりませんが、できるだけのことをやろうと思えるようになりました。幸い、事務局長として経験豊富な林先生にも全面的に協力しますといっていただき心強い限りです。また以前よりこの方は次代をお願いできる方だと感じていた東京医科大学の耳鼻咽喉科・頭頚外科学教授塚原清彰先生に事務局長をお願いできることとなりました。お二人の力があれば私は寝ていてもいいなといまは安心している次第です。
 私が全日本医師剣道大会にはじめて参加させていただいたのは昭和51年新潟で行われた第11回大会からだったと記憶しております。まだ福岡から神奈川へ移り、北里大学へ勤務して2年少しだったころです。大会中は家内と子供たちは白山公園で遊び、大喜びでした。その後ほとんどの大会に参加させていただき、大祢一郎先生や鬼倉先生はじめ範士の先生方に可愛がっていただきました。東京の山崎先生には棚谷昌美範士とのご縁もあり医師剣道連盟の歴史をはじめいろいろなことをおしえていただきました。京都の根本先生には「剣道の神髄、剣道はしないものが一番強い(何でも言える)」などユーモアあふれる中にとても鋭いお話をたくさんいただきました。
 大会に参加した中でいまも強烈に印象に残っているのは平成13年熊本大会での大祢一郎先生と笹原登先生の立ち合いでした。当時笹原先生は杖を2本使われていたと思いますが、竹刀を持たれるときちんと構えられ、そのお姿はとても杖を使って歩かれる方とは思いえないものでした。お二人あわせて確か180歳を超えるとアナウンスがあったと思います。医師で剣道を続けるということはすごいことなんだと感激しました。その後も親しみを込めて「妖怪」とお呼びさせていただいた、高齢にして、年齢を感じさせない剣道を披露される先輩がたくさんいらっしゃり、いくつになっても私は若輩者だと思っていましたが、いつの間にか年齢はうしろから10番以内に入るようになっています。
 大会会長が1年間連盟会長を兼任する形式が永く続き、その後現在の連盟会長が別に活動することになり鏡山先生、大祢先生と継承され、私が今回お引き受けすることとなりました。私に先輩会長はじめ皆様のような力があるとは思えませんが、山崎先生、根本先生から忘れていけないといわれた、「この会は医師が医師として剣道を学び、皆で楽しく稽古をする会だ」のお言葉どおりに継続していけるよう微力ながら頑張りたいと思います。何卒皆様のご指導をお願いいたします。